未来会議

切り株と庭石が並ぶ庭

執筆者:坂本 美紀子 (いわき市在住)

 今のところ両親だけが住む実家、原発から微妙な距離。そこで春と秋は田んぼに入り夏と冬は畑の収穫を手伝う、そんな兼業農家を当たり前に育ったが、震災後はやっていない。

 

 除染作業はゆっくり進んできて、集落を通り実家に向かう道すがらぽつぽつと建つお家の生け垣や庭木がある日消えて屋敷のかたちが丸見えになる。住んでいる人も通る人も気分は優れないだろうけど除染というのはこういう事になるらしい。

 

201308_4 実家と山ひとつ挟んである祖母宅は、曾祖父母の代から手をかけ時間をかけた庭だったけれど「除染が始まったよ」と聞いて1週間程で重機が土を削り、高麗芝も剥がされ、代わりに採石が敷き詰められた。残すはずだった庭木も作業員の伝達ミスで切り株だらけ。切り株と庭石が並ぶ庭ってシュールです。

 

 そして3月に実家の番が回ってくる。やるならば今より線量は下がってほしい、殺風景にされたとしても、息子を連れて帰る踏ん切りとして仕方ないと言ってきた自分が一方で想い出が勝手に消されていく気がして今更もやもや。まだ今は除染は終わりのあるものじゃないから余計になのかな。だから今は先の不安がなく次の庭が考えられるようになる日、来てほしい。

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