それぞれに大切なものがある [未来会議inいわき 2014年1月25日@菩提院]
高校生、お母さん、農家、強制避難の方、それぞれの想い、様々な立場に耳を傾けてみる時間
震災と原発事故は今も、人・もの・心に大きな被災をもたらしています。この地域では、市内外から仮設や見なし住宅に入居の方、原発復旧や除染作業に全国から来られる方、支援に通われる方、この方々を生活圏に受け入れるいわき市民。実に様々な方が共に暮らすようになりました。さらにはこの地域から避難される方もいるという複雑さも併せ持つ社会となっています。
そこには、復旧状況や賠償の差異・復興や安全に対する捉え方・判断の相違などの様々な違い」が存在し、各々が真剣に大切なものを守ろうとするほど分断や対立が生まれ、それに疲れ、沈黙が互いを傷つけない手段となるなど、分断が深まる構図が広がっています。
「『違い』や『仲間』との出会いで響き合うことができたら・・」そんな思いから、未来会議は始まりました。個を活かしたモザイク画をみんなで描く真っ白なキャンバスのような場。誰もが居ることを許され、声に耳をかたむけ、安心して思いを伝えられ、新たな視点を得たり、仲間と出会えたり、自分を見つめ直したり、何か始めるきっかけとなったり、始めたことが失敗しても戻って来られるニュートラルな場。そんな「場」を開き続けたい。2013年、有志で立ち上げた未来会議は、試行錯誤の中で回を重ね、延べ450名以上が参加。そこからプロジェクトやコラボレーションがいくつも生まれました。
2シーズン目の今年1月、未来会議は新たな形でスタートを切りました。『もうすぐ3年、私たちは今』というテーマで市民ゲストの方々に体験や思いをお話しして頂き、石原明子氏(熊本大学/紛争変容・平和構築学)と三倉信人氏(公益財団法人東日本大震災復興支援財団)に外から視点でのご意見を伺い、その後、参加者も一緒にワークショップ形式の対話を行いました。ファシリテーターは昨年から続き田坂逸朗氏が担当。この日は、カレーキャラバンがやってきたり、マルシェが登場したりのお楽しみもたくさん!
「それぞれに大切なものがある。」それを尊重することの大事さと、違いを越えて話す難しさを噛み締め、現実を見つめ受けとめながら、模索の一歩となりました。
(霜村 真康)(※詳細はアーカイブのページをご覧下さい)